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万年筆のこと [独り言]

最近、今さらながら、雫井修介氏の「クローズド・ノート」という本を読みました。単行本の刊行が2006年1月というから、もう15年以上前に書かれた作品です。
「クローズド・ノート」といわれてもピンと来ない方が大半かと思いますが、この本が映画化された折りに、主演の沢尻エリカさんが舞台挨拶で不機嫌さを全開にして『別に~』とのたまい、大バッシングを喰らった作品といえば「あ~~~、あれか」と思い出される方が多いのではないでしょうか。

ともあれそういう作品を読んだのですが、主人公がアルバイトをしている文具屋さんの描写で、やたら万年筆の話が出て来るのです。聞いたこともないようなメーカーや名前、種類・・・・。どんなものか見たことのない私はいちいちネットやスマホでその万年筆を検索しては現物を確認し、本を読み進めたものでした。
ちなみに主人公の愛用する万年筆がデルタというブランドの「ドルチェビータ・ミニ」なんてわかります?
わたしゃ全然わからんかった(^^;
デルタ_ドルチェビータミニ.PNG
ドルチェビータミニ.PNG

こんな万年筆を女子大生が使っていれば、カッコいいだろうと思いますね、確かに。

さて、その作者の万年筆に対するこだわりが文面ににじみ出てくるような感じで書かれた本作は、
「この作者はよほど万年筆が好きなんだろうな。おそらくこの原稿もパソコンではなく、自筆で、しかも万年筆で書かれているんだろうな」
と思わせてくれたものです。

で、いろいろなものに感化されやすい私は、自分も久しぶりに万年筆を使ってみたくなりました。一応私も、万年筆は所有しています。セーラーのプロフィットという名称で、もう随分前の名古屋支店勤務時に栄の三越で購入したシロモノ。
私の万年筆.JPG

たしか2万円近くしたんじゃなかったかなぁ~。よく覚えていないのですが。
当時の私にとって結構な出費だった記憶はあります。

そういう高価(?)な筆記具も、いつの間にやら使わなくなって相当な日々が経過していたため(10年以上?)、おそらくは内部でインクが乾燥し、カチカチに固まっているであろうことは容易に想像がつきました。・・・・机の引き出しから取り出し、内部を開けてみると、もはやいつ入れたかわからないカートリッジが入ったまんま。
「こりゃアカン」と思い、すぐに手入れを始めました。
まずは紙コップにぬるま湯を入れ、そこにペン先を丸ごと沈める・・・・すぐにぬるま湯は黒く染まり始め、湯を交換する。それを何度も何度も繰り返しました。早い話、残って固まったインクを湯や水で溶かすわけですね。
しかし、春夏秋冬をいくつも数えた積年の汚れはなかなか落ちない。ペン先を湯に浸けると吸い出し効果でまた黒いインクがぬるま湯を染め、で、結局一晩水に浸けたりして、ようやく古いインクの洗浄が完了しました。
ペン先.JPG
ペン先-2.JPG


で、インクカートリッジを買いに近所の文房具屋さんに行くと、「ない」。もう一軒・・・・今度はパイロットの替えインクはあったものの肝心のセーラーのヤツが、やはりない。
「もう万年筆なんて流行らんのやろな」
と一瞬途方に暮れかけましたが、ネットで探してみると、あるもんですね~[わーい(嬉しい顔)] 
さっそく注文しました。
が、届かない。尋ねてみると「入荷待ち」だって[ふらふら]

今さら大きな別の文房具屋さんに買いに行くのも何なので、届くのを待ちました。

そして待つこと約10日。ようやく届きましたよ。待ちかねた。こんなに待ったのは久しぶりだ(笑)
替えインク.JPG

カートリッジをペン先に装着。そして待つこと数分。お~~、書けたぁ~[ぴかぴか(新しい)]

久しぶりに書いてみましたが・・・・・異次元の書き心地ですね、これは。
ボールペンを使い慣れた私にとって、筆圧をかけなくてもすいすいと勝手に線が書けてしまうこの滑らかさは、何とも筆舌に尽くし難いもの。かつては毎日のように経験していたはずなのに、すっかり忘れ果てていた私にはあらためての新鮮な驚きでした。

それでも、初めに数文字書くとインクが出なくなる悪癖は相変わらず。万年筆を縦に2~3回振って勢いでインクをペン先に送り込むとあとはふつうに書けるのですが、何なんですかねこれは。(不良品だったのか?)

まあしかし、しばらくはこの筆記用具を使おうと思います。カートリッジは12本も入っており、いつ使い終わるのか見当もつかない。ここ数年は特にパソコンばかりで「書く」ことの少ない私、相当長く使えそうです。


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船山史家

万年筆なんて使ったことないです。
最近は手書きが無くなって、日誌も打ち込んだのをハサミでジョキジョキ切り取ったのをノートに貼ってる始末。
もう書くのではなく、打つ、入力する、ですね。
by 船山史家 (2021-03-14 18:36) 

ヒロ

史家さん
最近「書く」機会が本当に減ってますもんね。
私もです。
でも、たまにある機会に、あえて万年筆を使って楽しむようにしています。
by ヒロ (2021-03-18 19:33) 

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